蔓梅擬 [花]

鵜飼恵子さんの展示が始まった。

例年のごとく
花の出前を頼まれた
例年のごとく
この季節は蔓梅擬と藪椿ぐらいしかないが
年々、採取が難しくなっている

例年ならば蔓だけで充分だが
今年は実のつきも悪い
巻き付いた枝ごと切りだすことに

特に蔓梅擬のように
枝に巻きついている蔓物は
蔓を切る場所が難しい

野山の花材採取は
見つけた瞬間が勝負

活ける形を想定して
鋸や鋏をいれることを
心掛けている

花の移動でも
活ける場所でも手際が
ぐんと違えば
結局、花も長生きする

鵜飼2015*.jpg

枝についたまま
干し柿状態になったものと
蔓梅擬を籠に入れ
壁から吊してみた

鵜飼2015**.jpg

花を活けるということは
花器を選び
それをどう使うか
それで殆ど決まる

余分な手をくわえなければ
野山の花は
すべて例外なく美しい

花のあるがまま
花の望むまま
投げ入れるだけでよい



鵜飼恵子さんの展示は
6日(日)まで
豊橋市呉服町48
ギャラリーフォーティーエイト



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個展「旅へ」が終わった。 [アート]

個展「旅へ」が終わった
搬出も本日終了した

今回も多くの方が遠くから来場され
充実した展覧会だった

最終日の終了間近(正確には終了後)には
あいちトリエンナーレ2016で創作する
ダンスの取材で東栄町「花祭り」を訪れた
ダンサー・振付家の山田うん氏とダンスカンパニーのメンバーや
チーフ・キュレーターの拝戸雅彦氏と
そのスタッフが顔を見せてくれた
遠くから、本当にありがとう

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個展終了記念撮影 右から二人目が山田うん氏、左から三人目が拝戸雅彦氏

その日の昼過ぎには
先に帰られたダンスカンパニーのメンバーの方々を含めると総勢19名
来年1月にも再び「花祭り」を取材されるという
今更ながら
あいちトリエンナーレのスケールに驚いている

しかし残念ながら
来場者は圧倒的に市外が多い
陶磁美術館での企画展〈愛知ノート〉でも思ったのだが
残念なのは開催が尾張のため
東三河には殆ど情報が届かない
逆のケースでも、それは同じはずなのだが
遠くからはるばる
それも熱心な来場者が多い

感度を上げなければ
時代はどんどん先に行ってしまう
あいちトリエンナーレの一部が
豊橋でも開催されることになったが
一つの契機となればよいのだが…

因みに、私は名古屋での発表の予定である

ほっと一息と言いたいのだが
トリエンナーレスクールが目の前に迫っている

トリエンナーレスクールとは
あいちトリエンナーレ2016に向けて
現代アートを楽しみながら学ぶレクチャーシリーズ

その第10回に
「素材で表現する」と題して私が
進行役の拝戸雅彦氏(あいちトリエンナーレ2016 チーフ・キュレーター)の
質問に答えることになっている

チラシには
アーティスト、編集者、デザイナー、タイポグラファと
さまざまな顔を持つ味岡伸太郎
今回は、アーティストとして
どのようにして土の素材と出会ったか
そして素材で表現すること
あるいは表現すること自体について語ります
と紹介していただいた

どのような質問にも答えられるように
土の仕事を中心に20代のころからの作品まで
画像を用意しようと思う
上映効果も抜群なので少し楽しみだ

あいちトリエンナーレ2016の
作品プランも発表できるだろう

と き 2015年12月5日(土)14:00~16:00
ところ 穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース
ゲスト 味岡伸太郎(あいちトリエンナーレ2016 参加アーティスト)
進行役 拝戸雅彦(あいちトリエンナーレ2016 チーフ・キュレーター)
定 員 200名
共 催 豊橋市
参加費 無料(申込不要)
当日は開始時刻の30分前から受付を開始し整理券を配布
受付は先着順で定員に達した場合は入場できない
(まさか、そんな事はないと思うが… )
お早めに

詳しく&ちらしのダウンロードは
http://aichitriennale.jp/event/item/2015_triennaleschool_02.pdf


 

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個展「旅へ」明日から [展覧会]

2015年の個展が明日から始まる。
飾り付けが終了した。

味岡伸太郎展
「旅へ」
2015年10月31日(土)—11月23日(月)
ギャラリー サンセリテ

アーティスト・トーク&オープニングパーティ
10月31日(土)午後6時半より

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地質調査報告書 長久手
152cm x 10m 水彩紙・土 2015
今年は、名古屋で三回のワークショップを行った。
今回の作品の多くはワークショップのために
採取した土で制作した。

アーティスト・トーク&オープニングパーティで
何を話そうかと… 
あれこれ、珍しく考えている。

2015年1月の愛知県陶磁美術館〈地質調査報告書「愛知ノート」より〉では、
土を求めて1000kmの旅をした。
そして、旅の目的地「長久手」から始まる新しい旅… 。

来年の8月に始まる「あいちトリエンナーレ2016」
テーマは「虹のキャラバンサライ=創造する人間の旅」
新しい旅はさらに長い旅になりそうだ。
そのさわりも少し…    

土を使用した制作を始めて、随分長い年月が過ぎた。
最近、子供向けの講座で、中学生からインタビューを受けた。
「土はどのように選ぶのですか」私は「選ばない」と答えた。

「選ぶ」という行為は、
元々、自分のなかに、描いた結果が存在し、
それを実現するために「選ぶ」のである。
土で描くということは、そもそも不自由なもの。
自分の思いに添わせるには元々不向きなものである。

思い通りに描きたいのならば、
自らのイメージに最も相応しい表現を実現させるために用意された
「絵の具」を使ったほうが確実で簡単である。

私には、そもそも実現したいイメージなどはない。
それでは、何故土で描くのか。
それは土が全て違うということにつきる。
試し描きなどは絶えてしない。
つまり、描き終わるまで結果が分からないということである。
それは、常に真剣勝負であり、常に新鮮であるということである。

美術とは何か、それは人の営みの結果である。
行為の後に結果は必ず残る。
その営みを永遠に続けるにはどうすれば良いのか、
その行為が常に新鮮であることが条件となる。
行為のあり方は土が教えてくれる。
それに全てを委ねることができれば結果は必ず付いてくる。

そのためには、土、あるいは自然は、
絶対に美しいという確信を持たなくてはならない。

「選ぶ」ということの基準は、自らの価値観である。
それは、必ず自らの枠の中にある。
中々、それは越えられない。

しかし、選ぶことを放棄すれば、
その枠など始めから存在しない。

そんなことも…

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風祭り [田舎暮らし]

先週末
小坂井の菟足神社の風祭りに出掛けた
風祭りは豪快な花火で知られるが
まことに地味な神事について回った。

この祭りには人身御供の伝説がある

大祭の日に
「子だが橋」を最初に渡る若い女を
生贄にする風習があり
その役目の男が待ち受けると
やってきたのは自分の娘
男は「自分の子だが」仕方ないと
泣く泣く我が娘を生け贄にした

「今昔物語」一九巻には
三河の国守大江定基が
「其の國にして
国の者共風祭と云事をして
猪を捕、生け乍ら下してけるを見て」
いよいよ出家する心を強めたことが
書かれている

人身御供はともかくとして
猪はいつの頃か雀に変わり
それも鳥形をへて
現在は矢を二本射るだけとなった

神事はあっけなく終わる
写真を撮る間もない

祭り1日目に雀射初神事
2日目が雀射収神事
3日目には雀12羽が献供される

実際に雀が献供されるかどうかは
宮司家の秘事とされている

最近の動物愛護団体のからみも
あるのだろう
わずらわしいことだ

祭り1日目に雀射初神事の前に
浜下神事が行われる

菟足は「うたり」と読む
「うたり」とは葦の茂る湿地のこと
古くはあたりは汽水域だったのだろう
蛤はそんな淡水の影響のある
内湾の砂泥底に生息した

浜下神事の後に
雀射初神事の一行は茹蛤の供応をうける
海の幸の豊漁を願う持てなしであり
呪術なのだろう

一行と別れ神職と総代は雀射初神事に向かう
菱木野天神社で矢を二本放つ

雀弓.jpg

3日目の雀1献供の前には
田植神事で種籾播きが行われる
それを終えて雀献供となる

一説には、生贄とされるが
本来は稲に雀が害をなさない呪術なのだ
それ以前が猪だったのは
おそらく、それが稲作以前の
害獣駆除の呪術だったのだ

小坂井町は現在も伏流水が豊富だ
稲作にも適し、早く
狩猟から農耕に移行できたのではなかろうか
穂の国の名も案外そんなところから
名付けられたのではと…
妄想を膨らませながら
神事を見ていた

神事を待つあいだに
社の脇の神木に目がいった
万福招来生木の表示とおかめ面

おかめ.jpg

豊作を願う田遊の神社には
はらみ女がつきものだった





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4月、新学期です。

新学期となり
何も関係はないのだが
久しぶりにブログの気分

昨日はJAGDAの創作保全委員会で上京
今年の7月に開催される著作権セミナーの会議
そのことについては、詳細が決定次第
このブログやJAGDAのHPで紹介する。

今日はその後の話

会議後、虎ノ門の
菊池寛実記念 智美術館で開催中の
遠くて近い井上有一 展に出かけた。

yuichi_inoue2015a.jpg

早いもので、没後30年になる。

展示は、初期から晩年までの約50点。
筆で書かれたものだけでなく、
晩年のコンテによる作品や、自画像・陶器も並び
それほど大きな展示ではないが
井上先生を一望できる、よい企画だった。

図録に載っていた先生の言葉

「もっと書一筋に生きなければダメだ。…
どこか古い家に住んで、食いものなんかそれこそナッパと大根くらいでいい、
金は紙と筆を買うのと、表具するだけは十分欲しい… 井上有一」

若いころ、先生から
書をすすめる葉書をいただいたことを思い出す。
今もって、書一筋には生きられない。

それとは別に
筆で書かれた手紙が一通手元にある
20周忌の時に額にいれて
事務所に飾っている。

井上有一手紙.jpg

いつか、軸にしなければと思っていたが
その時期がきたと思った。


その帰り道
暗くなった虎ノ門の
ビルの間に収まった鳥居があった。
とても好きな景色だ。
鳥居の両側には幟も立っている。
春の祭りなのだろう。
街がどのように変わっていこうとも
必ず、残る
日本人の変わらない思いがある。

虎ノ門鳥居.jpg

翌朝、届いていた鉛筆削りを
初めて使う。

私は頭の整理をするとき
鉛筆でなければまとまらない。
それも4Bに限る。
当然、柔らかいので芯は直ぐに減ってしまう。

仕事前には、必ずダース程度の鉛筆を削る。
短くなるのも早い。

そのため、金属製のホルダーを
使っていたのだが
実は、貧乏くさくて嫌いだ。

そんな時
短い鉛筆をつなぐ鉛筆削りを見つけた
早速注文したのだが
45日待ちでやっと届いた。

鉛筆削り.jpg

使ってみると結構手間がかかり
少し器用さが必要だ。
それは大丈夫だが、使用本数が多いと
せっかちな私で持続可能かと
いささか心配である。

接続鉛筆.jpg

写真下が接続した状態
上のホルダーはご用済み… ?。

もったいないという貧乏臭さを
オシャレに解決してくれ
持っているぞと自慢できる
なかなか優れものである。

だが、一つ問題がある。
鉛筆の殆どが
孫たちにお尻をかじられている… 。






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「豊川沿岸の野草料理」の会 [田舎暮らし]

豊橋市から湯谷温泉までの道中で見かける野草を採取し味わおうと、2013年の5月から初めた「豊川沿岸の野草料理」の会も2015年の1月で8回を数えた。四季に1回、毎年の開催月をずらし、3年で1年12ヶ月全ての野草を味わおうという企画だ。その記録の一端は「そう」の41号から「野草料理」として連載が始まっているので、読者の皆様もすでにご存知だろう。
 料理人は、山野草研究家「ゲーテ高橋」さんと、食・酒・旅探求人「露久保瑞恵」さん、器は私が制作したものを使用する。一筋縄にはいかない野草をどのように調理するか、達人2人は、毎回頭を悩ませ、腕をふるっていただいている。

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1週間前の土曜日に、野草を採取、試食し当日に挑んでいる。第8回目の試食会は1月17日。朝9時に岩田運動公園の駐車場に集合。いつものように野草を摘みながら、新城市の旧鳳来町湯谷温泉にほど近い私のアトリエに向かった。

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多米峠近くの林で平茸を採取していると、突然、すぐ隣の大木が倒壊、ガードレールを壊し道路の片側を封鎖した。

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瞬く間に渋滞が始まり、行き掛かり上、110番、しばらく交通整理をするハメになってしまった。適当に交通整理を終え、湯谷温泉に向かう途中で現場に向かうのであろうパトカーとすれ違う。サイレンも鳴らさず、実にのんびりしたものだった。
 昼近くにアトリエ到着。今日の収穫は春の七草は予定通り、だが、真冬だというのに、平茸、榎茸、木耳と三種類の茸が採れた。特に、平茸は危険も一杯だったが、大豊作。
 さっそく試食会。とは言っても、囲炉裏に炭を熾し、土鍋で湯を沸かし、採ったばかりの雑草をさっと湯通し、味を確かめ、当日の味わい方を話しながら、正月の残りの餅を囲炉裏で焼いて腹を満たすだけ。

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しかし、人はそれだけで充分に幸せになれる。不慮の災害に遭遇しても、野草と炭水化物があれば、生きていけるとおもうのだが、いつまでたっても、食べられる野草が覚えられない我が身は、達人2人付きでないと生きられず、できることといえば、腹の足しにもならない器作りだけとだらしない。
 当日は、スタッフを含め、毎回20人ほどが参加する。平均して、野草10種類、約20種の料理が並ぶ、野草特有の苦味が好評で、毎回名古屋から参加する方もいる。

当初の計画では残り後1年、3・6・9・12月と4回開催する。参加人員には若干の余裕がある。
次回開催は 3月28日。

問い合わせは 0532-33-0086(そう編集部)
定員になり次第、締め切り。
参加資格は「そう」定期購読者、及び協賛社
参加無料
野草料理に相応しいお酒
その他の差し入れ大歓迎。
是非、飯田線でお越し下さい。



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